繋がる蒼。
 それの、総称。








 そう言えば、初めてだ。
 光が支配する世界、そこに出るのは。
 群青でもなく、真紅でもない空の色。


 光の空は、蒼いんだ。


「すっげぇ…」


 俺が何時も見ている空は、宵闇に支配された群青の空。
 星の光も届かぬ闇に浮かぶ、"キングダムハーツ"と共に眠る空。
 でも、今俺の視界に入っている空は、何処までも深く何処までも突き抜ける蒼い空。


 空は塗りつぶすように落ちてくるモノではなく、何処までも高いモノだと初めて知った。


「――遠いな」


 蒼が沁みこんで来る。俺の、『闇』に蒼が。
 ポツリと口から出た言葉を『自覚』した。
 『遠い』…何が遠い?
 光と己の関係が遠いのか?光――『存在』が遠いのか。


 俺にとって、『存在』は光。
 『存在』にとって、俺は闇。


 重なり合う光と影。
 俺というものは、存在という光が作る影によってなりたっている。
 俺はノーバディ。闇の住人。


 それなのに、何故俺は『あの城』に自分の場所を見つけれずにいるのだろう。
 何故、『光』を求めてあの街へいくのだろう。
 何故、空を見ていて…こんなに"苦しい"思いをするんだろう。


――何故、と問うことをやめられない?




 ああ、そうか。
 闇、だからこそ求めているのか。
 手を伸ばし、それが己が消滅へ導く光だとしても。
 己が空いた穴を埋めようと…『存在』を求めてる。


 ノーバディ。
 不完全なもの。
 キングダムハーツを手に入れて完全を求めるもの。


 俺の場合は求めているものがキングダムハーツではなくて。
 元の存在、手に届かぬ光。


 それは、俺の『知らない』道の先。
 靄がかかっているかのように霞んだその先にあるもの。


 遠い遠い…光の憧憬。




 空――それは、何処までも繋がっていると本で読んだ事がある。
 繋がる蒼。それの総称。


 俺と『おまえ』も…何処かで繋がっているんだろうか。
 繋がる蒼、その先に。






 04.SORA
 暗い!
 思った以上に重い話となってしまいました。
 残したいもの、さよならに話を繋げやすくしようとしたら…とんでもなく重い話に。
 黒さが目立ちません…1〜3話までのロクサスの黒さは何処へ…?(笑